スポットワークを活用した 「高校生のキャリア教育支援プロジェクト」の実施レポート

スポットワークを活用した  「高校生のキャリア教育支援プロジェクト」の実施レポート

はじめに

  • 2024年8月に「タイミー、HASSYADAI socialと協働で、スポットワークを活用した 「高校生のキャリア教育支援プロジェクト」を開始 ——早期離職や進路未決定等の課題解決に向けて、 リアルな就業体験と学びの機会となるインターンシッププログラムを提供」を公表しました。
  • 本プロジェクトでは、2024年5月から2025年3月にかけて、6つのモデル校を対象に、一般社団法人HASSYADAI social(以下「ハッシャダイソーシャル」)が中心となり、スポットワークを活用した独自のキャリア教育プログラムを提供。高校生の主体的なキャリア選択の支援を行いました。
  • プロジェクト参加の高校生は「はたらく」ことへの理解を深める講義を受講後、夏休み期間や冬休み期間等を活用し、タイミーを通じて、複数の職種・職場での「はたらく」を体験し、その後の振り返りを経て職業観を培い、主体的なキャリア選択につなげていくことを目指しました。

プロジェクト実施の背景

  • 社会人・職業人として自立していくためには、高校生一人一人の勤労観、職業観を育てるキャリア教育を充実することが重要であり、その一環として外的活動(※1)が重要とされています。
  • 一方、外的活動の一つである「インターンシップ(就業体験活動)」は、現状、「在学中に1回でも体験した生徒の割合」(普通科)が9%にとどまるなど、特に普通科の高校生に対して十分な機会を提供できていないといった課題が存在しています(図表1)。
  • この中で、履歴書・面接無しで働けるタイミーのサービスを活用することで、就業体験への参加ハードルを下げつつ複数の職種・職場での「はたらく」を体験できる、本プロジェクトを開始することとしました。

    ※1 進路決定を促進するキャリア探索行動として、「自分を知る」、「情報を集める」、「外的活動を行う」の3つがあるとされている(若松 養亮(2012). 『大学生におけるキャリア選択の遅延 ―そのメカニズムと支援 ―』 風間書房)

高校生の就業体験活動の実施状況

出典:国立教育政策研究所「令和5年度職業体験・インターン実地状況等結果」

プロジェクトの概要

  • キャリア探索行動に必要な「自分を知る」、「情報を集める」、「外的活動を行う」の3つをパッケージとしてプログラムを作成し、ハッシャダイソーシャルが中心となり、モデル校において取り組みを行いました。

取り組み内容

  1. ハッシャダイソーシャルが「お仕事図鑑」を通じた「自分を知る」ための講座を実施するとともに、外的活動に向けた事前学習の実施
  2. その後、タイミーのプラットフォームを使った外的活動の促進(事前に生徒に対するタイミー説明会を実施)
  3. ハッシャダイソーシャルによる振り返りプログラム(事後学習)の実施
  4. 生徒の教育効果やタイミーを活用した外的活動の可能性を整理するため、教員等へのヒアリングを実施

※実施予定としていた3「振り返りプログラム」については、体験の時期や学校のスケジュールを踏まえ、学校との調整の上実施しなかった。
※株式会社タイミーにおいては、「お仕事図鑑」や「タイミー説明会」への登壇、タイミーのサービスの活用方法等に関するハッシャダイソーシャルへの助言等を担当した。

プロジェクトの流れ

プロジェクトの実証高校とその実施内容

  • 本プロジェクトでは、6つの高校を対象にしました。
  • 選定においては、私立・公立、普通校・専門学科・通信制のバランスを考慮した上で、ハッシャダイソーシャルが学校との調整を行いました。

実証高校

※「振り返りプログラム」については、体験の時期や学校のスケジュールを踏まえ、学校との調整の上実施しなかった。
※「タイミーの活用」について、生徒から学校側への報告を求めていない中で、学校側が把握できた人数。
※本プロジェクトでは、教員の負担の軽減や職種選択の幅を広げる観点から、高校生向けの個別の求人開拓をせず、タイミーのアプリ上で公開される求人(一般公開求人)を活用して実施。
※一般公開求人を活用するため、「学習指導要領の解説」(文部科学省)に記載される「就業体験活動」には直接は位置付けられないものと考えている。

事前学習:お仕事図鑑・タイミー説明会の実施結果

お仕事図鑑とは

  • ハッシャダイソーシャルが実施する、各業界をリードする企業や、地域に根差した伝統産業を支える企業と連携した、様々な職業や生き方を届けるための高校生向けキャリア教育プログラムです。「知らないから、選べないをなくす」のコンセプトのもと、企業の方に登壇いただき、そこで働く人の仕事や生き方を伝え、若者たちがロールモデルと出会うきっかけを届ける講演活動や、興味を持った若者には弟子入り(職場体験)を通して深く学ぶ機会も提供しています。

本プロジェクトで実施したお仕事図鑑

  • 本プロジェクトでは、タイミー社員の話を聞くことで、キャリアや働き方の多様性について学び、自身のキャリアを考え、自分の人生を主体的に選択するきっかけとするオンライン講座を実施しました。また、講座の実施後に、「はたらくことのイメージの変化」、「実際にタイミーを使ってみたいか」などについてアンケートを実施しました。

取り組みの様子

タイミー説明会

  • 「お仕事図鑑」やチラシを通してタイミーのサービスを利用してみたいと思った生徒を対象に、タイミー説明会を実施しました。タイミーの使い方を生徒に知ってもらい、夏休み以降にかけてタイミーを使用してもらうハードルを下げることを目的にしたものです。
  • 具体的には、ハッシャダイソーシャルの社員がファシリテーターとなり、タイミーの社員とトークセッション形式で、タイミーの機能、利用方法(登録方法、求人の探し方のコツなど)、注意事項(求人の中で特に確認が必要な事項など)について、説明を行いました。
  • また、受講後は、「実際にタイミーを使ってみたいか」などについてアンケートをとるとともに、その場でアプリのダウンロードを促すなど、活用促進につなげました。

アンケート回答

  • お仕事図鑑、タイミー説明会の実施後にアンケートに回答した生徒は計390名となりました(1年生が67人、2年生が94人、3年生が225人、4年生が4人)。

アンケート結果

  • 事前学習である「お仕事図鑑」と「タイミー説明会」を実施することにより「はたらく」ことに対するイメージが前向きになる傾向が見られました(図表2)。
  • 事前学習後の「タイミーのサービスを使ったアルバイト体験の意向」(以下「体験意向」)について、7割以上の生徒が前向きな回答をしました。これらは、授業後に「はたらく」ということに対するイメージが前向きな生徒ほど、その傾向が強いものでした(相関係数は0.43となり、中程度の相関)。
  • また、これまでのアルバイト経験の有無と「体験意向」をクロス集計したところ、アルバイト経験がある生徒に「体験意向」が強く、統計的に有意なものとなりました。一方、これまでアルバイト経験がない生徒においても「体験意向」は一定あり、タイミーが多くの生徒の体験活動として活用できる可能性があることが示唆されました(図表3)。
図表2 「はたらく」のイメージに近いものを選んでください

「はたらく」のイメージ

出典:ハッシャダイソーシャル
図表3 タイミーのサービスを使って、「アルバイト体験」をしてみたいと思いましたか?

アルバイト体験

出典:ハッシャダイソーシャル

※カイ2乗値(⾃由度3)=13.087P値=0.004。
※「アルバイト経験あり」は「これまでアルバイトをしたことがありますか」の質問に対する「今している」と「今はしていないがしていたことがある」の回答割合の合計。

タイミーを使った外的活動の状況

実施時期

  • 生徒によるタイミーの利用は、夏休み期間中、冬休み期間中、春休み期間中が多くなりました。
  • 夏休み期間中は、進学希望者および就職希望者が対象となり、冬休み期間中については、AO入試が終了した進学希望者や内定を得た就職希望者、春休み期間中は全生徒が対象になることが想定されます。
※ タイミーのサービスは、18歳以上の年齢の方が対象となっているため、「タイミーの活用」は高校3年生(18歳以上)を対象に実施(お仕事図鑑等は全学年を対象に実施)。

タイミーによる就業事例

  • 今回の取組期間において、全体で6名のタイミー利用を確認しました。
  • 本取組においては、タイミーの利用に関しては、ハッシャダイソーシャルや学校側から生徒に対して参加に対して強い勧奨を求めるものではなかった(任意であった)こと、また、実際のタイミーの活用状況について学校側への報告を求めていなかったことから、把握した利用実績は低調になりました。
  • 以下については、特に利用回数が多かった2名の就業事例です。長期休暇中に実施している傾向や、多くの職種でマッチングしている傾向が見られました。
事例:生徒Aさんの事例(春休み期間中に実施)
  • 2025年3月に計5回就業(全て異なる事業者で就業)
  • 就業時間帯・仕事内容
    • 14:00-22:00(春休み) ピッキング作業
    • 8:00-12:00(春休み)荷受けスタッフ
    • 6:30-13:00(春休み)イベントの案内作業
    • 9:40-15:10(春休み)工場の作業補助
    • 12:00-17:00(春休み)ピッキング作業 
  • 生徒からのヒアリング内容
    • 通常のアルバイトはシフト制で部活や学校と両立できず厳しかったが、タイミーは自分のタイミングで働ける環境が合っていた。
    • タイミーは、登録も仕事探しもすごく簡単で、すぐ働けるし、その日に給料がもらえるのも助かった。高校生にとっては本当にありがたい仕組み。
    • 仕事は、工場や運送系などの作業系が多かった。相互評価のレビューで「慣れてない人が来ると大変」などの他のワーカーのコメントがあると、邪魔になりたくないという理由で避けていた。
    • 正直、お金を得るためにやっていた部分も大きい。ただ、働く経験を通じて、自分の得意・不得意や、どんな環境が自分に合うかが見えてきた。実際、作業内容はシンプルだったので、仕事に参加してる実感や、みんなと一緒にやってる連帯感は感じられた。
事例:生徒Bさんの事例(夏休み・1月中に実施)
  • 2024年8月に3回、2025年1月に3回就業(全5事業所)
  • 就業時間帯・仕事内容
    • 17:00-19:00(夏休み) スーパーのレジ
    • 17:00-22:00(夏休み)飲食店の洗い場・フロア案内など
    • 13:30-18:30(夏休み)プール監視スタッフ
    • 9:00-14:00(元日)スーパーのパック詰めなど
    • 16:00-20:00(1月平日)スーパーの商品陳列など
    • 16:00-21:00(1月平日) 同上
  • ヒアリングは未実施

考察(アンケート調査結果(自由記述)、教員へのヒアリングを通じて)

  • タイミーの働き方は、「履歴書・面接無し」「1日・時間単位の契約」「有償」という特徴があります。このことにより、これまでの就業体験活動等とは異なる実施方法と位置付けられ、以下のことが期待されます。
    • 就業体験への参加ハードルを下げ、「より多く」の生徒に就業体験を提供できる
    • 複数の職種・職場の「より広い」就業体験を提供できる
    • 労働契約(有償)のある、実践的な「より深い」就業体験を提供できる

考察

  • アンケート(自由記述)やヒアリング(教員・生徒)を通じて、仮説である「主体的なキャリア選択」につながると思われる内容がありました。
  • 株式会社タイミーとしては、このような生徒・教員から得られた意見を参考に、キャリア教育におけるタイミー(スポットワーク)の貢献可能性を、今後も高校等と連携しながら探索していくことが重要と考えています。

基礎的・汎用的能力の育成

関連するアンケート(自由記述)・ヒアリングの声

  • 「今までは、短期間で初めての人と働くタイミーにあまりいいイメージを持っていなかったのですが、働く人も働かせる人も感謝しあっていたという話を聞いて、素敵な関係を築けるということで凄くいいイメージを持ちました。また、最終的に就活にも繋げることが出来たりと、いろいろな経験をしておくことで社会経験にもなりそうだなと思い、凄く興味が湧きました。」(生徒)
  • 「高校生のうちにアルバイトなどで色々な仕事を経験してみるのは将来の為にも大切だなと思いました。」(生徒)
  • 「職種が沢山あり、その分選択肢も広がるから色々な職業の情報を知り、実際働いている人の声を聞くのも働くことに活かせるし、今回のセミナーを通して働くということに前向きになれたような気がします。」(生徒)
  • 「私の担当する部活動でも、遠征や合宿で数万円の費用がかかることが少なくありません。試合や経験としての価値は十分ある一方で、保護者の金銭的負担は無視できません。そんなときに、例えば1か月前から“スポットワーク”のような形で生徒たちが自らお金を一部でも稼げる手段があれば、教育的にも、家庭的にもすごく意義があると思っています。」(教員)

自己理解の向上

関連するアンケート(自由記述)・ヒアリングの声

  • 「タイミーはお金を稼ぐためにスキマ時間に働けるだけではなく、企業と働き手の相互評価のシステムがあり自己理解に繋がり、バッチで経験を可視化できるので就職にも役立つと知り今の自分にぴったりだと思いました。」(生徒)
  • 「履歴書がない代わりに働きぶりで評価されるのはとてもいいと思った。」(生徒)

働くことへの不安の払拭

関連するアンケート(自由記述)・ヒアリングの声

  • 「タイミーは面接・履歴書なしでバイトが出来るのが凄いな一歩踏み出しやすいなと思いました。」(生徒)
  • 「仕事を通して他の業種の人達とも関わりを持てるようにタイミーを活用してみようと前向きに感じた。社会に出ても余り人を怖がらなくても良いのだと感じた。」(生徒)
  • 「明確な就きたい職種というものがなく、将来について少し不安がありましたが、 タイミーなど、様々な働き方があるのを知り、不安が和らいだように感じました。」(生徒)
  • 「働くための第1歩がとても踏み出しやすそうだなと思いました。タイミーで働くことで、様々な自分の可能性を知れたり、自分をより知れて最も良い職に出会いやすくなって、働くことが楽しそうって感じました。」(生徒)

自身の強み・興味の発見

関連するアンケート(自由記述)・ヒアリングの声

  • 「僕も最初は”お金のため”に働こうって思ってたけど、やっていくうちに、”あ、自分こういうこと得意かも”とか、”こういう働き方好きかも”って見えてきたところもあった」(体験者)
  • 「タイミーを活用することで、自分の今後の可能性や選択肢が増えると思いました。大学生になったら将来のことも考えながら活用してみたいと思いました。」(生徒)
  • 「色々な職種の選択肢があるから自分に合った職種をみつけたいです。」(生徒)
  • 「色々な業界で働いてみて自分にあった職業につけたらいいなと思いました。」(生徒)
  • 「大学生から学習がとても専門的になっていくので、高校生のうちに色々な業界を見ていくことは大切だなと感じました!」(生徒)
  • 「副業で経験を増やしたり、自分にある職業、業界を見つけられるなど、”自己理解”を深められるという点が良いと感じました。気になっている職業や業界があっても、ずっとそこで働かなければいけないと思うと、なかなか一歩が踏み出せないので、お試しのように自分に合っているか確かめられる機会があると安心して挑戦できるなと思いました。 成長できる環境に自分を置けるよう、また、様々な人と関われるよう、きっかけを見つけていきたいなと、前向きに考えられました。」(生徒)

教員の負担の軽減

関連するアンケート(自由記述)・ヒアリングの声

  • 「実際、学校でインターンシップを組もうとすると、どうしても企業側が受け入れの体制を整える必要があって、見学止まりになってしまうんですよ。体験として完結する場が少ない。だからこそ、ハッシャダイソーシャルのような存在が、教育と企業の橋渡し役として”プレバイト”的な仕組みをつくってくれると、現場としては本当に助かります。学校・家庭・企業・地域、それぞれの接点に立つプレイヤーとして、これからも期待しています。」(教員)
一般社団法人ハッシャダイソーシャル CI事業部責任者 髙宮 大史

1996年大阪府生まれ。大阪市立大学文学部人間行動学科(教育学)を卒業し、中高国語の教員免許を取得。大学在学中から中学受験塾に勤務し、卒業後も合わせて8年間、教育現場に携わる。2021年よりハッシャダイソーシャルの活動に参画し、全国の高校でのプログラム設計・運営・展開や、大学生向けの研修、自治体や企業との連携プロジェクトなどを担当。現在はCI(コレクティブインパクト)事業部の責任者を務める。
https://social.hassyadai.com/

株式会社タイミー スポットワーク研究所 地方創生グループ 企画チーム 山口眞司

2010年早稲田大学卒業後、厚生労働省に入省。若年者雇用、派遣労働者の同一労働同一賃金、雇用関係助成金の企画などに携わる。2024年より株式会社タイミーに参画。地方自治体等と連携し、タイミーを活用した「就職困難者の就労支援」、「キャリア教育」、「災害復興対策」などのプロジェクトを担当。

おすすめ記事