株式会社タイミーは、一般社団法人日本シングルマザー支援協会(所在地:神奈川県横浜市 代表理事:江成 道子、以下、協会)と協働で、シングルマザーのタイミーの利用実態を把握するとともに、その利用による就労支援上の貢献可能性を調査しました。
協働で実施した取組
- 正社員就職等に向けた支援
協会が実施する「MES(ミーズ)就職プログラム」の中でタイミーの活用を促進。「就労に対する不安の払拭」、「就労意欲の喚起」、「職業適性の探索」、「強みの発見」を通じて、円滑な正社員等への移行を目指しました。 - 副業支援
シングルマザーの「副業による臨時収入の獲得」や「副業による職業経験の付与」のため、協会の会員のうち副業を求める方に対して、タイミーの活用を促しました。 - 労働法教育
就業後のトラブル防止や離職防止のため、協会の会員に対して労働法を学ぶ機会(座学)を提供しました。 - アンケート調査
シングルマザーのタイミーの利用実態及び利用の理由等を把握するため、協会の会員を対象としたタイミーの利用に関するアンケート調査を実施しました。 - インタビュー調査
タイミーの具体的な利用方法及び利用理由を詳細に把握するため、アンケート調査に協力いただいた会員の中から12名を対象に、オンラインのインタビュー調査を実施しました。
調査からの考察
図表:シングルマザーの就労支援上のタイミーの貢献可能性
就労に向けたシームレスな支援
- 就業への敷居が低いタイミーでの働き方により、就労の第一歩目を促すことや就労経験を蓄積していくことが期待されます。
- タイミーの働き方は、雇用契約に基づく働き方であるため、実務経験が少ないシングルマザーがその経験を得て、本格就労に向けた書類選考や面接でPRすることが期待されます。
- 本格就労に向け、タイミーの就労を通じて自身がどの程度の就業日数・時間なら仕事ができるのかなどを確認することができ、本格就労に向けた労働条件の設定を検討していくことが期待されます。
「書類選考の履歴書の職歴欄にも、タイミーでこれまでに働いた勤務内容は記載した。また、面接の際にもタイミーでイベントスタッフ、会計事務所で働いたことを伝えた。専業主婦でまるっきり働いていない状況とは、企業の印象が違うと感じた。」(Iさん、30代、パートタイム労働)
就労意欲の維持・向上
- タイミーの相互評価の機能(※)により、事業者から評価されることで、就労意欲の維持・向上が期待されます。
※事業者から勤務したワーカーに対して、その仕事ぶりをGood/Badの2択及びテキストコメントで評価することができる。
- 求職活動をしているシングルマザーのうち、書類選考や面接で不採用が続いている方がタイミーで仕事を行うことで、自信を取り戻したり、自身の強みを再確認し、再度、前向きに求職活動ができるなどの効果が期待されます。
「相互評価の機能で、企業から自分に対する評価を確認できるのはメリットだと感じる。もちろん、マイナスな意見があれば落ち込むかもしれないが、どう改善した方がいいのかを考え、プラスに転換できるので、メリットと感じる。」(Dさん、40代、準社員)
柔軟で多様な働き方の提供
- 時間的制約がある方や健康上の理由で長時間の就労が困難なシングルマザーに対して、就労の機会を提供することが期待されます。
- そのことを通じて、無就業の状態の長期化を防ぐことができ、失業期間中の精神面の負担軽減等につなげていくことが期待される。
- 即日入金の特徴があるタイミーを活用することで、離婚等により臨時的な収入が必要なケース等に対応することが期待される。
「日中で子どもが学校に行っていて、送迎に差し支えない時間に(タイミーを)活用していた。」(Eさん、40代、修学中)
「求職活動中にタイミーを活用することに関心を持っている。今年の3月までに就職先を決めたいが、うまくいかないケースもあり得る。その場合は、雇用保険の受給期間が3月に終わってしまうので、そのマイナス部分をタイミーで補填できればいいなと思っている。」(Fさん、40代、求職活動中)
ミスマッチの減退
- 本格就労前にタイミーにより様々な職種を経験し、ミスマッチを防ぐことで、本格就労後の早期離職を防ぐことが期待されます。
- 特に、シングルマザーは介護や保育等の資格取得を目指す方も見られます。資格取得前または資格取得後の就職の前に、自身の職業適性等を判断するため、介護・保育業務を経験し、求職活動の際の職業選択・職場選択の検討につなげていく使い方が期待されます。
「介護の仕事のうち排泄介助など、自身の適性に合うのかやってみないとわからない部分もある。初任者研修の資格を取得しているが、転職しても、すぐ離職してしまう可能性がある。このため、まずはタイミーを使って何回か介護現場で働いてみて、介護の仕事も大丈夫と判断できたら、本格的に転職活動をしていくという流れも考えている。」(Cさん、30代、派遣労働者)
収入の補填・ウェルビーイングの向上
- 本業のフルタイム・パートタイム労働で働きつつ、スキマ時間でタイミーを活用し収入の補填をしていくことが、一つの有効な選択肢として期待されます。
- 子どもとの生活や自分自身の人生を充実させ、ウェルビーイングを高めるため(例えば、子どもと外食に行くなど)、タイミーを活用する事例も見られました。
「生活費と娯楽費をあまり分けていない。例えば、子どもと外食をして、意外と月の収支が厳しくなったら「タイミーをあと数回すれば何とかなる」という考え方になれる。タイミーがあることによって、結果的に贅沢な経験ができる。タイミーで仕事ができるという存在が保険になりうると思う。存在を知っていること、繋がりがあることの安心感がある。」(Cさん、30代、派遣労働者)
「今は、家庭と職場との関係が中心であり、新たなコミュニティを広げる観点では、タイミーを使っていく価値がある。タイミーを通じて、他者と触れ合うことで、気分転換になると思っている。」(Dさん、40代、契約社員)
まとめ
- タイミーの利用によるシングルマザーの就労支援上の貢献可能性は一定あることがわかりました。
- 一方、子どもの年齢によるニーズの違いや、求職活動や副業などのニーズの違いによって、タイミーの活用方法も期待するものも変わってきます。
- 協会が行う生活支援などと一体となった就労支援の中で、ひとり親コンシェルジュ等の支援者が、シングルマザー本人の置かれている環境も踏まえながらタイミーの活用方法について助言を行っていくことで、より一層一人ひとりのニーズに即した支援につながるものと考えます。
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※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:株式会社タイミー スポットワーク研究所「シングルマザーのタイミー活用実態とその貢献可能性について 〜アンケート調査と12人のインタビュー調査から〜」

2010年早稲田大学卒業後、厚生労働省に入省。若年者雇用、派遣労働者の同一労働同一賃金、雇用関係助成金の企画などに携わる。2024年より株式会社タイミーに参画。地方自治体等と連携し、タイミーを活用した「就職困難者の就労支援」、「キャリア教育」、「災害復興対策」などのプロジェクトを担当。